BMWのフラグシップ的なEVとなる「iX」。アルミ・スペースフレーム構造とカーボン・ゲージによって軽量化が図られているが、ボディサイズが大柄で駆動用リチウムイオンバッテリーが大容量のため、かなり重くなっている。
全幅が1,965mmと2m近くあり、日本の狭い道ではストレスとなるかもしれない。しかも、最小回転半径が6mなので、狭い駐車場だと出し入れに苦労すると思う。
ただ、大柄なボディサイズなだけあって、室内スペースはかなり広々だ。EV専用プラットフォームになっていて、フロアはフラット。
ホイールベースが3mあるので、後席でも足を組めるほどだ。オプション機能でマッサージ機能も追加できる。
そして、大型のフロントグリルが特に個性的。EVの場合、冷却用の空気は少量しか必要としないため、このグリルはダミーだが、BMWの象徴ということであえて設置しているという。
そのため、一目でiXと分かるフェイスデザインになっている。
走行性能について
iXは前後にモーターを設置した4WDである。iXは出力とバッテリーの違いにより2モデルがラインナップされている。
上級モデルのiX Drive50は出力は523px、765N・mとかなりパワフルで、これはV8 4.4Lターボエンジンを搭載するBMW M5を上回るほど。
モーターは特徴としてアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発生する特性を持っているため、iXは巨体をものともせず加速。静止から100km/hの加速は4.6秒だ。この数値はスーパーカー並だ。
とはいっても、公道ではスルスルと滑らかに走るので、問題ないだろう。アクセルを戻した時の回生ブレーキの効き方は、とても自然でガソリン車とほとんど変わらないため、乗り換えもスムーズにできる。
乗り心地は快適で、22インチの大径タイヤを履いても路面のギャップをほとんど感じさせない。これはiXに搭載したエアサスペンションによるものと強固なボディの恩恵によるものだ。
さらに静寂性も高いので、リラックスして運転ができる。
気になる航続距離は
iX Drive50の場合、航続距離はWLTCモードで650kmもある。EVは運転方法で航続距離が大きく変化するが、上手な人なら実航続距離は500km以上になるだろう。
ボディー右のリアフェンダーに充電口を配置し、普通充電用とCHAdeMO対応の急速充電ソケットが1か所にまとまっている。
最大150kWの急速充電に対応し、これを使えば40分以内で約80%まで充電が完了し、約500kmの走行が可能となるが、日本には150kWの急速充電器は導入されていない。